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Dear My Star

幸せになろう。 僕らが出逢ったのは、きっとそのためだから。

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イメソン作成。
ふたりは仲良し。



+++++
Dear My Star番外編

小動物コンビ結成





2週間の課題期間を終え、提出したイメージソング。その評価が発表されるのは、この休み時間の予定だ。
まだ何も貼られていない掲示板の傍でそわそわした様子であたりを見回しているのはSクラスの各務と来栖翔。この課題でペアを組んでいるふたりだった。
前の授業が終わって飛んできたのだが、どうやら結果よりも先に到着してしまったらしい。
あたりにまだ先生の影すら見えず、がっくりと肩を落とす。
「早すぎた・・・」
「だから、次の休み時間にしようって云ったのに」
「だって早く結果知りてぇじゃん!」
わくわくした様子を隠そうともせず拳を握る翔の気持ちはわかる。苦笑を返しながらも、だって結果は楽しみだった。

前回の課題とは違い、今回の結果はペアで評価される。アイドルコースの生徒の歌唱力や表現力、作曲家コースの生徒のセンスなど、すべてを総合しての完成度を問われているのだ。
幸いふたりはすぐに打ち解け、も翔のイメージを的確につかんだ曲を作り上げた。翔もその曲を見事に唄い上げ、出来上がった曲を聴いたふたりは大はしゃぎしたくらいだ。
だから万が一にも不合格になるとは思っていなかったが、やはり結果が気になるというのは当たり前のことだろう。

「俺さ、の唄すっげぇ好きなんだよなー」
ひとまず掲示板の前をうろうろしているのは不審者だということで、場所を中庭に移動した。サオトメイトで飲み物を買ってベンチに腰を下ろしてからすぐの翔の言葉だった。
はパックのウーロン茶にストローを刺したままの格好で動きを停止していた。翔の言葉はあまりに唐突すぎて、なんと返せばいいのか考えてしまったのだ。
「なんて云うかな、唄いやすくて、が俺のことわかってくれてるんだなって思ったら、唄ってたら嬉しくて楽しくなってきたんだよな」
「・・・恥ずかしいこと云ってくれるわね」
「でも、ホントのことだし」
屈託ない笑顔でそんなことを云われては、照れるではないか。
照れ隠しのつもりでは翔の頭を乱暴に撫でてやった。抗議の声が上がったが、ふり払われるようなことはない。なんだかんだ云って、も翔も、こんな関係が嫌いではないのだ。
「・・・ありがと」

がこの学校に入ったのは、最終的には自分のための唄を作るためだ。
けれど、そのほかにも学べることがあるなら何でも学んで自分の力にしていきたいと考えていた。
どんな課題がどんな条件で出されるかもわからないこの学校で、翔のような存在に出会えて、心から嬉しいと思った。
まどかのままでいたら出会うことがなかったかもしれない存在。
翔だけではなく、音也や那月や真斗、レン。春歌に友千香もそうだ。
神様など信じていなかいけれど、もしも神様がいるのなら、は今だけ感謝した。

―――素敵な出会いを、ありがとう。

「じゃあ、これからも翔がそう云ってくれるような曲、たくさん作るね」
「おう! そしたらまた唄わせてくれよな!」
「もちろん、よろしくね」

それから少しの時間他愛ない話で時間を潰し、授業が始まる前までには貼り出されているはずの結果を今度こそ見るため、ふたりは掲示板のもとへと向かうことにした。

そして何故か、すれ違う生徒にちらちらと見られることになる。

指をさされたりはしないが、明らかに自分たちを見てひそひそと話されてはいくらなんでも気になるというものである。
「・・・何?」
「・・・さあ?」
ふたりとも、誰かに後ろ指をさされなければならないようなことはしていないはずだ。というか入学して高々2週間で不祥事などごめんなのだが。
なんだか嫌な予感に襲われつつも、結果は気になるので自然と早足になるふたりである。
しかし、視線は掲示板に近付くにつれ多くなるのだった。
まさか、と良からぬ考えが脳裏をよぎる。
今回のイメージソング作成は全クラス共通課題で、結果も混合で出されるということはあらかじめ聞いていた。
つまり、AクラスやBクラスなどの一般クラスの生徒でも、評価が高ければSクラスを抜いての上位に食い込むことは可能と云うことで。

その逆も然りであって。

まさかまさか、と同時に同じ考えに至ったのか、思わずふたりは歩きながら顔を見合わせる。お互い些か青い顔をしているが、からかう余裕もない。
完璧だと思ったのは自分たちだけで、実は教師からしたらまだまだだったのだろうか。
単なる自画自賛だったのだろうか。
だとしたらものすごく落ち込んでしばらく立ち直れないかもしれない。

掲示板の前にはたくさんの生徒があふれていたが、と翔が姿を現すと、自然と真ん中に道が出来上がった。
更に嫌な予感がしてきた。
示し合せたわけでもないのにふたりは足元を見ながら掲示板の前まで歩く。
うっかり一番下に自分たちの名前があるのを目にしたらその場で屑折れる自信があったので、は翔の腕をがっちりつかんだ。
掲示板が目に入らないように翔を伺うと、バチリと目が合って、数秒。
「・・・見るぞ」
意を決したような翔の言葉に、も頷く。
この2週間可愛い可愛いと云い続けてきたが、実は翔は男らしい。そういうところも今回の曲に組み込んでみたのだが、もし次にまたこんな機会があったら、今度はもっと男らしくカッコいい曲を作ろうとは心に決めた。こんなにも翔が頼もしく思えたのはある意味収穫だった。
ゴクリと喉がなる。
心臓もバクバク云っている。もしかしたら近くにいる生徒には聞こえているのではないかとさえ思うほどだ。
そして、恐る恐る、ふたりは視線を上げる。
まずは一番下、順位すらつかない不合格者欄。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

そこにふたりの名前はなかった。
ひとまずホッと息をつくが、まだ安心は出来ない。
本当の恐怖はここからだ。
「ううう・・・」
「泣くな、希望はまだある・・・!」
「翔くんかっこいい! でも・・・!」
「安心しろ、死なばもろとも、だ・・・」
「それダメじゃん安心できないじゃん!!」
「うううううるせぇ俺だって見るの怖ぇんだよぉッ!!!」
「さっきまで頼れる男だったのにもうこれかよ! がっかりだ!!!」
「うっせぇ!!!」

「のはお前らだ。」

スパーン!
実にいい音が響いた。音源はと翔の頭だった。
突然の暴力に驚いて後ろを振り向くと、そこにいたのはSクラス担任の日向龍也。ただでさえ強面なのに、深く刻まれた眉間のしわが更に迫力を増している。ケンカの王子様というよりちょっと道を外れて若旦那とか二代目とか呼ばれてそうだと一部の冷静な頭で考えたが、きっと口に出したらもう一度くらいは引っ叩かれることが容易に予想できたので口を噤む。
そんな龍也の後ろには、笑いを必死にこらえているのが丸わかりの月宮林檎が。今日も今日とて女性らしい格好をしている立派な成人男性に、助けてくれと目で訴えてもブフッと噴き出されて顔を逸らされた。酷い。
「せ、せんせぇ~・・・」
「情けない声出すんじゃねぇよ。ったく、何を騒いでる馬鹿がいるのかと思えば・・・」
「ホントあなたたちって可愛いわぁ」
この状況で褒められても嬉しくない。
痛む頭をさすりながら睨み付けてもまったく効果はない。どうしたらこの人類最終兵器に精神的ダメージを与えられるのだろうか。知り合って数年考えているが、はいまだに答えを見つけだすことが出来ずにいた。

「で、何騒いでたんだ?」
気を取り直して訊きなおす龍也に、殴る前に訊いてくれと思うのは当然の意見のはずだ。しかし口にする勇気はないので、心の中で舌を出しながら口を動かす。
「ここに来るまでに、なんかみんなが俺たちを見てひそひそ話してて」
「もしかしてSクラスのくせに成績最下位だったんじゃないかって思ったら結果見るのが怖くて・・・」
「で、ぎゃんぎゃん鳴いてたと」
「子犬がじゃれてるみたいで可愛かったわぁ」
だからこんな状況で可愛いと云われても、と云ってもきっと無駄なのだろう。もう諦めることにした。
腕を組んで難しい顔をしていた龍也は、ふたりの様子を見て思い切りため息をついた。
「馬鹿か? お前ら」
「ひ、酷い・・・」
「いいからさっさと結果見て、とっとと授業行け。なんなら俺が順位教えてやるぞ」
「や、やだ!!」
「じゃあさっさとしろ」
鬼がいる。
龍也の大ファンだという翔ですら、今は龍也を悪魔か恐怖の大王でも見るような目で見ていた。気持ちは痛いほどわかる。

とはいえすぐに結果に目を移すには心臓が硝子すぎたので、一度深呼吸で落ち着くことを試みる。
息を吸って、吐いて、吸って、吐いて。
「はい、吸ってー、吸ってー、吸ってー、まだいける吸ってー」
「って殺す気!!?」
肺活量に自信はあるが、あくまで人間である。
お茶目じゃないのと頬を膨らませる林檎にわずかな殺意を抱きつつ、おとなしく従ってしまった自分たちも馬鹿だったと思う。ここの教師はこんなのばっかりなのだろうかと思うと涙が出てきた。
しかしおかげで緊張が吹っ飛んだので、窒素分子の5分の1の重さくらいは感謝してもいいかもしれない。

これ以上引き延ばしては授業に間に合わないだろうし、顔を見合わせたふたりは漸く腹をくくった。
もう下から見るのは恐ろしいので、いっそ一番上から目をやろうというアイコンタクトを交わしてから頷きあう。
そして。

「・・・・・・マジで・・・?」
「・・・・・・うそ」

ふたりの名前はすぐに見つかった。

最優秀ペアと書かれた太枠内に、各務、来栖翔、と並んでいる。

しばらくそのまま固まったあと、ゆっくりとふたりは見つめあう。
おもむろに手を伸ばし、お互いの右頬に手をやり、ぎゅっとつまむ。
痛い。
どうやら現実なようだ。
と翔は、ダントツで首位。
隣に書かれた点数が、2位以下に追随を許してはいなかった。
すれ違う生徒がふたりを見て話していたのは、ふたりの予想とは真逆の意味からだったのだ。
冷静になって考えてみれば、すごいとかさすがとか云われていたような気がする。もっと早くに気付けていたらこんな思いはしなかったかもしれないが、それはもう過ぎたことである。
もう一度自分たちの名前を確認して、やはり最優秀であることをじわじわ実感して。


「・・・やった―――――ッ!!!!!」


抱き合って喜んだふたりに再び龍也のゲンコツが落ちたのはお約束だったが、そんな痛みすら吹っ飛ぶほどと翔は大喜びした。

身長も似たようなものだし、動きがいちいち小動物みたいなふたりが名コンビとしてこの学園に名を残すことになることを、はしゃぐと翔を眺めながら龍也と林檎は確信していた。
ちなみに、ペアではなくコンビとしてなのは、ふたりのやり取りが漫才のようだからである。





仲良しですという話でして。
私は林檎ちゃんをなんだと思っているのか。大好きです。
ちなみに教師陣で、林檎ちゃんと龍也さんはの正体を知ってるということで。
ていうかみんな大好きです。ホント
今回の結果は、ペアでの結果なので相手が非常に重要だということで。トキヤもレンもなっちゃんも真斗も音也も、相手にちょっと恵まれなかった、と。
翔くんは運よくと組めたし、いっぱい頑張ったのでこの結果でしたということです。
おす。
みんな大好きだ!


20120708

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