Dear My Star
幸せになろう。 僕らが出逢ったのは、きっとそのためだから。
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彼らの世界に『あり得ない』なんてことは『あり得ない』(ドヤァ)
グリードの兄貴が大好きです
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グリードの兄貴が大好きです
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「き・・・」
シャワーを浴びてからしばらく鏡の前で髪を拭いたり肌のチェックをしていた。最近細かい手入れはさぼり気味だったし、少し入念に。
途中部屋でガタガタと音がしたような気がしたけど、特に気にもしなかった。窓を開けっ放しにしていたので、風で何かが動いたんだろう。置きっぱなしにしていた楽譜が散らばってしまっていないことを祈る。
そしてドライヤーを使う前にとりあえず寝巻に着替えようとして、全部ベッドの上に置いてきてしまったことに気付いた。
まぁいい。
どうせひとり部屋だし、ここは部屋に備え付けのバスルームだ。共同大浴場でやっていたら大失敗だったろうが、自分しかいないのだから問題ない。
しかしさすがに全裸で部屋をふらつくつもりはないのでバスタオルを身体に巻きつけて部屋に続くドアを開けたところで、思わず固まって。
それから。
「きゃああああああああああああああ!!!!!!!!!!??????」
誰が予想できただろうか。
自分ひとりであるはずの部屋に、いつの間にか友人が居座っているなどと。
しかも同性ではなく異性。
つまり翔を筆頭にいつものメンバーが雁首揃えて私の部屋で寛いでいたのだ。
さきほど聞いた音は風の悪戯ではなく彼らが部屋に入ってきた音だったらしい。納得出来たような、出来ないような。そもそも勝手に入ってくるなという話なのだが。
そして一応断っておくと。
「・・・きゃーはこっちの台詞じゃないの・・・?」
さっきの悲鳴は私ではない。
音也だった。
顔を真っ赤にして、恥じらう乙女もびっくりなくらい恥ずかしそうに両手で顔を覆って俯いている。耳まで真っ赤だった。
確かに友人がバスタオル一枚で現れたらキャーな気はするが、それは見られた方の悲鳴であって、見た方が上げる悲鳴ではないと思う。
思わず冷静になってしまったではないか。
というか音也の悲鳴、可愛いな。
「見られた方の反応として、それもどうかと思うけどなぁ・・・」
「うるさい」
呆れたように云われる筋合いはない。少しは恥じらえよ、とぼやく翔を一刀両断する。だったらお前も恥じらえよ。
どうせ翔が私のところに来るときに一緒になったか何かで全員が便乗してきたのだろう。
普段だったら別に構わないが、部屋の持ち主がいないところに勝手に入ってくるとはいかがなものか。いよいよもって同性扱いされているのではないだろうか。翔くん、これでも一応私は女の子なのですが。云ってもきっと鼻で笑われると思ったので云わないけれど。
ちくしょう、私よりちっちゃいくせに。
「は、はやく冴ちゃん服着なよ!!」
「そうしたいんだけどねぇ」
「何!?」
「私の着替え、音也の後ろにあるんですよ」
「え!?」
だからこの格好で部屋に出てこなければならなかったわけで。別に普段からこの格好でうろついているわけじゃないのだ。一応、れっきとした理由があることは主張しておきたかった。
まだ顔が赤いままの音也の後ろにはベッドがある。そこに着替え一式を忘れてしまったので、取りに行きたいのは山々だ。
が、私のこの格好を見ただけで茹蛸になってしまった音也に、更にこの格好のまま近付いたらどうなるのか――実際のところ興味はあるが、あんまりからかっても音也が可哀想なので好奇心は抑え込んで。
どいてね、という意味を込めて云ったのだけれど、どうやら通じなかったらしい。
純情少年音也くんは、そのまま振り返ってベッドの上を見た。
そこには着替え一式があるのである。一式。
つまり。
「・・・・・・っ!!!!」
―――まぁいわゆる、下着も一緒に置いてあったわけで。
「お、俺外で待ってる!!!!!!!」
「はーい」
云って音也は一瞬で消えた。すごい。その特技を生かせばステージですごいパフォーマンスが出来るんじゃないかと他人事ながら思った。ちょっと人外な気がするけど、音也なら大丈夫だろう。
「俺らも外行ってたほうがいいか?」
「ん? いいよ別に、すぐ着替えるから」
近場にいた翔に取ってもらったそれらを受け取りながらの会話だったのだけれど、これはやっぱりお互いに異性と認識していないんだなぁと改めて思った。普通だったら、いくら友達だろうと異性に下着込みの着替えを取ってもらうなんてありえないだろう。多分、普通は。普通は。
翔も私を女だと思っていないし、私も翔を男だと思っていない。つまりお相子というわけだ。
下手に性別を意識して気まずくなるよりはましかもしれないが、これはこれでちょっと問題だなぁと思う。きっと改善はされないと思うけど。
「ところでこの子ら大丈夫かしら」
「いろいろ駄目だろ」
「ほほう」
翔と一見異様なほのぼの会話を交わしていた間はあえて触れずにいたのだけれど、この部屋にいたのは翔と音也だけではなかった。
いつものメンバーとはつまり真斗、なっちゃん、レンにトキヤ。ここに春歌や友千香がいればお馴染みメンバーフルコンプだったのに、女の子ふたりの姿は見当たらない。翔に尋ねてみたところ、パイを焼いているから出来上がったらふたりで来るらしい。女の子だ。可愛いなあ。
それに比べて男の子は。
「ねぇねぇトキヤ、大丈夫ぅ?」
「さっさと服を着なさい。そんな格好をしないでください、はしたない」
「わざとだよ」
「殴りますよ」
「やだよ。ていうかなっちゃんと真斗が息してないんだけど」
「云いたいことも云えないこんな世の中だし、お前がさっさと着替えりゃ生き返るんじゃね?」
「人をポイズン扱いか。メガンテ!!」
「それじゃお前も死ぬだろ」
トキヤは思いっきり顔を逸らして意地でもこっちを見ないようにしているし、なっちゃんと真斗は俯いたまま固まって息もしていない。翔に至ってはもうコメントするのも腹立たしいくらい普通だ。
確かに今はバスタオル一枚だけど、水着のほうが露出は高かったと思うのだけれど。
そこはあれかしら、やっぱり男としては『バスタオル一枚』というところに浪漫を感じてしまっていろいろ頭の中が大変なことになっちゃってるのかしら。でも残念ながら私は男の子じゃないのでよくわからない。
とりあえず石化の魔法をかけられてしまっているふたりは放っておいて、若干腹立つ反応をしてくれたトキヤをもうちょっとからかってやろうと思っていたら。
ふわり、と肩に何かがかかる。
「お」
「風邪を引く前に、ちゃんと服を着ようね?」
「・・・おお」
何事かと思って見上げると、苦笑したレンがそこにいた。肩にかかっているのは私のカーディガンだが、どこから引っ張り出したのかと考えて椅子の背もたれにかけっぱなしにしていたことを思い出す。一瞬視界から消えたなーと思ったら、これを取りに行っていたらしい。
トキヤに近付こうとしていたところをやんわりと抑えられ、背中を押されて洗面所に向かわされた。
困ったように笑っているくせになんとなく逆らえない雰囲気で、私もいい加減湯冷めしそうだったので大人しく従って足を動かす。
洗面所のドアを開けて、レンがそっとドアを閉めようとして。
完全に閉まりきる前に、ふとレンは動きを止めた。
何だろう。何かひっかかったのかな、と軽く首を傾げた、瞬間ハッとした。
レンと目が合う。
「・・・今度から、気を付けるようにね?」
怒っている。
え、なんで。
というか気を付けるとかなんとかは私の問題ではないような気が。
勝手に部屋に入ってきて勝手に人の身体見といて勝手に怒るとか、一体どんだけ俺様なの。
と、思うのに。
「・・・ハイ」
頷くことしか出来なかった私の、おバカ。
ちょっとこの理不尽に腹が立ってしょうがなかったので、あとで翔を殴ろうと思う。ちきしょう全部お前のせいだ。
焼き立てのパイを持ってきた春歌と友千香がこの話を聞いて男子に雷を落とすまで、あと5分。
まぁ当然のように私も怒られたんですけど。ホントにポイズン。
まどかとして下着とか水着とかのモデルもやっているので、いまいちこういう恥じらいがなかったりする。翔くん役得だけど自分で得だとは思ってない。きっと真斗とトキヤはむっつりだよ。なっちゃんは冴だから。レン様は勝手に嫉妬してたらいいなって
特に意味のない話を書きたくて
20120719
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