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Dear My Star

幸せになろう。 僕らが出逢ったのは、きっとそのためだから。

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もういい加減にしろ私と思いつつとまらねぇ

レン様もこんなんでホントすみません これから本気出すから レン様超かっこいいからマジで 今だけだから
そう云い聞かせないと自分がつらいwwww
はやくーはやくレン様のかっこいいターン行きたいです!!!



+++++
Dear My Star番外編

欠食児童、追加です





月曜日。
今日はがみんなに手作り弁当を持っていく約束の日である。
平日では授業もあるし遅くまで勉強があるだろうということで、前日が日曜日ならば他の日よりも準備がしやすかろうという翔なりの親切な提案だったらしいが、手間だと思ってるなら最初から頼むな、とは思ったのであった。大人なので、云わないが。
それに毎週定期的にストレス発散の料理を誰かに振る舞う機会が出来たと思えば、実はそんなに苦でもないのだ。ただあの時は、のっけの音也のことといい、後から合流した那月や真斗までが手を挙げ、更に春歌に友千香までもが便乗してきたからがっくりと来ただけであって。
しかし作ると決めたらは手を抜かない性質である。
予告通りあの翌日に重箱を持ってきた真斗にはやや感謝した。いくらなんでも、6つの弁当箱にひとつひとつ作っていくのは面倒だと思っていたからだ。

まるでおせち料理を詰めるかのような立派な重箱には見事な料理が詰まっている。おしんこを除けば、すべての手作りだ。
音也に大好評だった鶏のから揚げ、里芋と人参のそぼろ煮、ちくわの甘辛炒め、ピーマンと豚肉のショウガ炒め、アスパラのベーコン巻、綺麗に巻かれた卵焼き、串のおかずはウズラの卵とウインナーのもの、チーズと海苔を合せてロール状にしたもの、プチトマトとインゲン豆のものがあり、彩りのためにブロッコリーやレタスなどの緑野菜にレモンなどが散りばめられている。
ご飯はおにぎりを小さめの俵型に握り、味海苔を巻いただけのもの、ふりかけをまぶしたもの、梅入りの3種類を用意した。

どう考えても音也や翔はたくさん食べると思ったので、量もそれなりに作ってきた。
真斗は4段のものを貸してくれたのだが、そのうち1つは春歌と友千香用としても残り3つは男子4人分だ。
作りすぎたかもしれないと思ったくらいだったので、足りないと云われたらそれは購買でパンでも買って食べていればいいと思う。はそこまでお人よしではない。
ちなみにはちゃっかり自分の分は別に弁当箱で用意している。どうせ中身は同じだが、なんとなくいつもの流れで自分の分は確保してしまったのだ。

そしてあっという間に午前の授業が終わり、昼を告げる鐘が鳴る。
「腹減った!」
「・・・・・・・・・」
教科書をしまうなりに駆け寄って、開口一番そう云った翔を、はじとりと睨み付けた。
「他に云うことは?」
「弁当超楽しみ!!!」
「・・・まぁいいけどね・・・・・・」
満開の笑顔でそんなことを云われては、これ以上何も云う気になれないではないか。笑顔が武器だというのはも十分わかっているのに、すごく負けた気分になった。

そんなの気持ちなど知る由もない翔は、待ちきれないと云わんばかりにを急かそうとする。
「なぁ、はやく食堂行こうぜ! 腹ペコで死にそう!」
「はいはい。じゃ、これ持ってね」
云っては風呂敷できっちり包んだ重箱をドンと机に載せた。
どうせ行先は同じなのだし、そもそもこれを食べるのは翔たちなのだから食堂まで運んでもらうのくらいはいいだろう。
そこのところはわかっているのか、それくらい、と笑って風呂敷を掴んだ翔は風呂敷の重さに次の瞬間思わず叫んでいた。
「重ッ!?」
「私はそれを寮からここまで運んだのよ」
そんなことをさらっと云うの言葉に、翔は一瞬動きを停止して。
考えてみれば、4段の重箱にいっぱいの料理が詰められているのだ。いくらお重が軽いからと云って、総量まで軽いわけではない。
気付いて、翔は気まずそうに眼を泳がせた。
「・・・すんませんでした」
「あはは、残さないで食べてくれたら、それでチャラ」
「・・・全部食う! サンキュー冴!!」
申し訳なさそうに眉尻を下げ、の言葉を聞いてパッと顔を輝かせた翔にはにっこりと微笑む。
確かにいっぱいに詰めた重箱4段を風呂敷に包んで持ってみたときは、あまりの重さに主に男子陣に対して殺意が沸いたが、喉元過ぎればなんとやら。ここまで来てしまえばなんとも思っていないのだ。むしろ頑張って作ったお弁当をおいしそうに食べてもらえるか、そっちが気になってしょうがない。
重いとはいいつつもさすが男子なのか、なんだかんだ云いつつひょいと風呂敷を引き受けた翔はを急かしながら先を歩く。
その後ろを苦笑しながら追っていると、なんだか弟でも出来た気分だった。は一人っ子だから、もし弟が産まれていたら、こんなふうだったのだろうか、と。

そんなやりとりをしながら教室を出て行ったふたりは、ひとつの視線がふたりをジッと見つめていたことに気付かなかった。





先週と同じ、早々に確保した食堂の隅の席での手作り弁当を囲んだ6人は、開いた口が塞がらなかった。
「・・・やべぇ・・・うまそう・・・・・・」
「ほ、ほんとに手作り・・・?」
「失礼な」
広げられた重箱を指さして真顔で云う音也を睨み付けた。
既製品に見えるほど絶賛してくれているのだとは分かっていても、これはすべての労力の賜物なのだ。そんじょそこらの大量製作の既製品と同じにされてしまっては、にもプライドというものがある。別に料理人ではないが。

ひとつひとつのおかずの説明をしている間、全員がうんうんと黙って冴の説明を聞いている姿はなんともおかしな光景だった。先ほど翔のことは弟みたいだと思ったが、こう人数が増えると、先生にでもなった気分だ。
一通り説明して食堂から借りてきた取り皿と箸が全員に渡ると、行儀よくみんな手を合わせた。さすが日本人。しかしやはり小学校の給食を思い出してしまって、は笑いをこらえるのに必死だった。
思い思いにひとまずの量を確保し、まず最初にから揚げを食べた那月が思わずと云うように声を上げる。
「おいしい! ちゃん、これおいしいですよ!」
「里芋の中までしっかりと味がしみ込んでいるし、柔らかくて滑らかだ・・・各務、感謝する」
料理番組のような解説をありがとう。

里芋と人参のそぼろ煮は、たいそう真斗の口に合ったらしい。まるで某国営放送局の某番組のようなノリで絶賛してくれる真斗にまた口元が歪んでしまった。
音也と翔はといえば、おとなしいと思ったらひたすら食べていた。しゃべる時間すら惜しいと思ってくれるのはありがたいが、もうちょっと味わってほしいとも思ったりした。今は聞く耳持たなさそうなので、後でこっそり云ってみようとはこっそり誓う。
すでに一度の手料理を味わった経験のある春歌と友千香は、綺麗に詰められた重箱にまず感動し、相変わらずの上品で確かな味にため息をついた。
「ほーんとの料理はおいしいわね! 太っちゃいそうで嫌だわぁ」
「私たちまで便乗しちゃってごめんね・・・でも、本当においしい!」
「ふふ、そう云ってもらえると、作った甲斐があるってもんね。あんたたちも、残さず食べてね?」
「もちろん!」
元気いっぱいに頷いた音也に満足そうに微笑み、さて観察はこれくらいにしても自分の昼食に手を付けようとして。

アスパラのベーコン巻をつまんでいた手が、ひょいっと誰かに掴まれた。
驚いている間に手は勝手に動いてしまい、アスパラのベーコン巻は口に放り込まれた――もちろんの口にではない。
思わず、間抜けにもあんぐりと口を開いてしまった。

「ん、うまい」

「・・・は?」
「楽しそうなメンツだね。俺もまぜてよ」
「レン!」
もこの男のことは知っている。同じクラスだ。
神宮寺レン。
自由奔放で明るく気さくなフェミニスト。
それがが知っているレンの情報だ。才能はそこそこあるようで、先日の放送室ジャックで披露した唄はも素直に感心した。
しかしこれまで特に会話らしい会話を交わしたことはなく、彼が実際にどういう人物なのかは知らない。
ただ一つ云えるということは、彼は人の弁当を勝手に食べるような人間だということだ。

「お前なぁ、だったら最初からそう云えよ。なんでのやつ食っちゃうわけ?」
「あまりにも可愛らしい手だったので、思わず触ってみたくなってね。そうしたら、ちょうどおいしそうなおかずがあっただけさ」
「・・・寒ぅい」
「ブフッ」
ぼそっと呟いた言葉をうっかり聞いてしまったらしい音也がむせていた。お茶を差し出してやると、ひったくるようにして奪われた。

あとで覚えてろ、とそっと思いつつ、ひとまずは考える。
まだ手を付けていないし、別にこの弁当をレンに献上することが嫌なわけではない。もう欠食児童が6人も集まっているのだから、ひとりくらい増えたところで今更何とも思わないのである。
しかし、これをレンが食べるとなると、困ることがひとつある。
つまり、の分の昼食である。
仕方がないので鞄に入れっぱなしになっていたメニューの注文の際に使用するカードを取り出した。
「さて神宮寺くん。食べたいならこれはあげるから、はい」
「・・・食堂のカード?」
「そう。これはあなたにあげるんだから、私のお昼、確保してきて。あんかけオムライス、よろしく」
の言葉に驚いたように目を見開き、カードと冴を交互に見やったレンは。
ふ、と艶やかに微笑み、気障っぽくの手からカードを受け取った。
「・・・まかせて、レディ?」
はよ行け。
律儀にウィンクを投げてから注文口に向かったレンの背中に、はしっしと手を振った。買いに行かせておいてこれである。

そんなやりとりをしていたふたりを、置いてきぼりになっていた6人はやや呆然と見ていた。レンをパシリに使う女子など見たことがなかったし、それにおとなしく従ったレンにも驚愕したのだ。拒否はしないとは思ったが、それにしてもやけにあっさりしていることが驚きだった。
はひとつ空いていた席に自分のものだったはずの――現レンのための弁当を移動すると、空腹を紛らわすためか暖かいコーヒーをすすり始めた。
あの神宮寺レンをパシリにした女子の行動である。
「・・・、つくづくすげぇなぁ・・・」
「何それ」
「いいぞ各務、もっとやれ」
「真斗はなんかキャラ違うけど大丈夫?」
聞けば真斗とレンは幼馴染でお家柄のライバル、しかも同室らしい。また同室コンビか。翔と那月コンビに加え真斗とレンもとは、この分では音也の同室である一之瀬トキヤのジョインも目前なんじゃなかろうか、とは他人事のように思ったが、きっとその可能性は低い。何せ彼は、ひとりが大好きなようだから。
レンに絡むと若干キャラが変わる真斗に一抹の不安を感じながら、レンがのためのあんかけオムライスを持ってくるまではのんびり寛いでいることにした。慌てても急かしてもしょうがないのだから、こういうときは落ち着いたもの勝ちだ。別に現実逃避とか、そういうことではない。断じて。

わいわいとの力作弁当を食べる彼らをぼんやりと眺め、はそっと眼鏡の奥の瞳を細めて微笑んだ。
今まで知らなかった光景だ。
確かに同僚や先輩たちにも料理を振る舞ったことはあったがそれは彼らの寮でのことで、もちろん一人ひとりに分け出していた。
みんなでこうしてひとつの重箱をつつくというのは、実は憧れだったりしたのだ。
よくテレビでは運動会やお花見などでこんな光景が映されるが、実際には体験したことがない。今だって自分が加わっているわけではないが、しかし彼らが囲んでいるのはの作った料理だ。
そう思うだけで、みんなと一緒に食べている気分になるというものだった。

早乙女まどかとしての芸能生活は充実していて、不満など何もなかった。
けれど、こういう、当たり前の学生のような生活に憧れがあったのも本当で。
ドラマで学生役を与えられると、実は主役をもらうよりも喜んでいたのだ。
だから、どうしても叶えたい目標のためとはいえ、社長に我儘を云ってまで入学したこの学園でこうやって友達とわいわい出来るのは本当に嬉しいことだった。
きっと、そんなことを彼らに伝えることは出来ないのだけれど。
なぜなら今の各務であり、学園を出ればまた早乙女まどかに戻る。
一部の人間しか知らないとまどかがイコールで結び付けられる事実を、彼らが知り得るはずはないのだ。
仮にもし、彼らが学園を卒業してデビューしてシャイニング事務所に入ったとしても、そこで会うのは早乙女まどかだ。彼らの知っているではない。
まどかは彼らを知っているのに、彼らはまどかがだとは知らない。
なんという茶番だろうか。
は今を楽しみながら、確実に訪れる未来、自分を苦しめる嘘をついているのだ。
だからと云って、今以外の選択肢など存在しないのだけれど。

ほんの少し、苦しいと思った。
けれど。
けれど、と目を伏せる。
やらなければならないことがある。
果たすべき目標がある。
そのためならば、いくらでも苦しもうとは決めていた。
だってその苦しみは、やがていつかの幸せになると信じているからだ。
彼らに嘘をつき続け、真実を告げないことへの罪悪感は拭えない。
しかしそれでも、自分にはどうしても叶えたい夢があるから。
人心地付いたのか、やっと周りと会話を始めた音也や翔、それに付き合う那月に真斗、春歌、友千香を眺め、は心の中で呟いた。
ありがとう、ごめん。

その時である。

「お待たせ、レディ」

ぎょっとした。
コーヒーを噴き出したり漫画のように椅子から転げ落ちたり飛び上がったりはしなかったが、心理的には限りなくそれに近かった。
なぜ。
なにゆえ。
百歩譲って背後から、と云うのは大目に見よう。冴は注文口の方には背を向けて座っていたから、気付かなかったのは仕方のないことで、レンの非ではない。
しかし。

―――何故、耳元に声をかけるのか!

「・・・あんた、まともに正面から話しかける気はないわけ?」
いろんな意味で心臓に悪い声をしているのだから、そういう行為は慎んでもらいたいと心底思った。
動揺は億尾にも出さずに振り返り、悪戯ぽく笑っているレンを睨み付ける。
「女の子はサプライズが好きだろう?」
「時と場合と場所と、対象を選んでちょうだい。私は別に好きじゃないから」
ぴしゃり、と云い放ったに、レンは目をぱちくりとさせた後、にっこりと笑った。なんとなく良い予感はしない。
「・・・君は面白いね」
「あら、それは、どうも?」
にっこり。
何故か楽しげに、今までとは少し変わった笑顔になったレンにも微笑んだ。眼鏡で三つ編みだからまどかでいるときほどの威力はないが、それにしたっては笑えば可愛らしいのだ。
これ以上レンが口を開くといろいろ破裂しそうだったので笑顔の力で黙らせようという魂胆だったのだが、果たしてそれが成功したのかどうかはわからない。しかしともあれレンは意味ありげに笑って、空いていた席に腰を下ろした。

内心ホッとしつつ、漸く自分もご飯である。
と、お昼にありつけるとほくほくとあんかけオムライスの皿を見たは、次の瞬間目をむいた。
「って、何これ!?」
何故なら皿には、オムライスのほかにハンバーグやら炒めベーコンやら、とにかく頼んでいないはずのものがてんこ盛りだったのだ。
こんなに食べられるはずはない。の胃袋は標準仕様だ。
「給仕のレディがサービスしてくれたんだけど、いらなかったかな?」
「馬鹿じゃないの! 自分が食べるわけじゃないんだから、遠慮しなさい!!」
きょとんとされても全然可愛くないのでやめてほしい。顔がよければ何でも許されるというのは、あれは一部に限るのだ。
てんこ盛りの皿と、本気で好意だったのか悪気なさそうな眼をしているレンを交互に見て重い息を吐き出す。
「・・・責任持って、神宮寺くんが食べなさいよ」
「え? 俺は多分、君の愛情たっぷりのお弁当だけでお腹も胸もいっぱいさ」
「そういうのいいから。ホント、いいから」
またもやウィンクを投げてきたレンにぶんぶんと手を振って全力で拒否し、は目の前に鎮座する大量のおかずに頭を抱えた。こんなに食えるか。
結局、少し足りなかったという音也と翔の大食らいコンビに手伝ってもらってなんとか完食したのだが、もう二度とレンには何かを頼むのはよそう、とは固く心に誓ったのだった。





20120705

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