Dear My Star
幸せになろう。 僕らが出逢ったのは、きっとそのためだから。
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選んだのは、全部自分だから。
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ベッドに寝転んで天井を見つめる。
ベージュの天井にはシミひとつなく、冴に透視の能力はないから上の部屋の様子が見えるわけでもない。
けれどひたすらジッと見つめた。
罪悪感に押しつぶされそうになったのは、一体いつのころからだったのか。
学んでいればすぐだと思っていたはずの時間は、しかし今になれば別な意味でも短すぎた。
そして同時に、あまりに長い時間なのだと痛感する。
考えただけで胸がジクジクと痛み、目の奥が熱くなってきた。
咄嗟に目をギュッと閉じることで堪えるが、胸の痛みは消えてはくれない。
各務冴として堂々と存在できるのはたった一年で、だから必死に勉強していればそれだけでいいと思っていた過去の自分を罵りたい。
何もわかっていなかった。
だから『たったの一年』と高をくくっていた。
確かに『たったの一年』だ。
学ぶことも、そして出会った友人たちとすごせる時間も、『たった一年』。
卒業したら冴は早乙女まどかという存在に戻る。そういう契約だから当然だ。
そうして、彼らの前からも姿を消さなければならない。
大切な親友。友人たち。
閉じた瞼の裏に走るのはまず親友である翔。初めて出来た親友と云う存在は、冴にこれ以上ないほど素晴らしい居心地を与えた。翔がいれば何でも頑張れると思えた。恋とは似ても似つかないこの想いを、きっと翔も共有しているだろう。
それからいつも一生懸命で真っ直ぐで可愛い春歌、友千香はそのはっきりした物言いに驚かされたがそれでもそんな彼女に背中を押されたことも確かにあって。犬のように弟のように冴に懐いていた音也は可愛いし、冷静で落ち着いているようで実は不安定なところがある真斗からも目を離せない。那月は冴に安らぎをくれる大切な存在で、地味な喧嘩はよくするがトキヤの唄が冴は大好きだった。そして、想えば胸に優しい痛みを与えるレンは、しかし誰よりも優しく冴を支えてくれている。
卒業と同時に姿を消す冴を、彼らはどう思うのだろうか。
薄情だと怒るか、何故だと嘆くか。
どちらにせよ、彼らのことをひどく傷つけ裏切ることになることには間違いない。
けれど説明なんて出来るはずがない。
卒業したらアイドルに戻るから、もう会えない。
そんなことが云えるはずがないのだ。
だから何も云わずに消えるしかない。
それがたとえ、自分にすら深い傷を負わせることになろうとも。
云えるはずが、ないのだから。
泣きたいと思う。
しかし泣くわけにはいかない。
哀しいなんて思ったら、それこそ自分の存在意義を否定することになる。
決めたのは自分だ。
後悔するなんてしてはいけない。
早乙女まどかにはファンがいて、冴は彼らに応える義務がる。
そしてそれは冴の求めるものに不可欠なものだと、わかっているから。
寂しいも悲しいもつらいも、どうしようもないほどの罪悪感も。
すべて自分の責任だ。
我儘を受け入れてくれた早乙女、何もかも承知で黙って支えてくれている龍也や林檎。
彼らに恩を返すためにも、それらすべては自分の中で消化しなければならない。
卒業まではまだ半年以上もある。
それまでに、少しずつでも消えてくれればいいと思う。
笑ってしまうほど他人任せな願いだった。
20120716
ベージュの天井にはシミひとつなく、冴に透視の能力はないから上の部屋の様子が見えるわけでもない。
けれどひたすらジッと見つめた。
罪悪感に押しつぶされそうになったのは、一体いつのころからだったのか。
学んでいればすぐだと思っていたはずの時間は、しかし今になれば別な意味でも短すぎた。
そして同時に、あまりに長い時間なのだと痛感する。
考えただけで胸がジクジクと痛み、目の奥が熱くなってきた。
咄嗟に目をギュッと閉じることで堪えるが、胸の痛みは消えてはくれない。
各務冴として堂々と存在できるのはたった一年で、だから必死に勉強していればそれだけでいいと思っていた過去の自分を罵りたい。
何もわかっていなかった。
だから『たったの一年』と高をくくっていた。
確かに『たったの一年』だ。
学ぶことも、そして出会った友人たちとすごせる時間も、『たった一年』。
卒業したら冴は早乙女まどかという存在に戻る。そういう契約だから当然だ。
そうして、彼らの前からも姿を消さなければならない。
大切な親友。友人たち。
閉じた瞼の裏に走るのはまず親友である翔。初めて出来た親友と云う存在は、冴にこれ以上ないほど素晴らしい居心地を与えた。翔がいれば何でも頑張れると思えた。恋とは似ても似つかないこの想いを、きっと翔も共有しているだろう。
それからいつも一生懸命で真っ直ぐで可愛い春歌、友千香はそのはっきりした物言いに驚かされたがそれでもそんな彼女に背中を押されたことも確かにあって。犬のように弟のように冴に懐いていた音也は可愛いし、冷静で落ち着いているようで実は不安定なところがある真斗からも目を離せない。那月は冴に安らぎをくれる大切な存在で、地味な喧嘩はよくするがトキヤの唄が冴は大好きだった。そして、想えば胸に優しい痛みを与えるレンは、しかし誰よりも優しく冴を支えてくれている。
卒業と同時に姿を消す冴を、彼らはどう思うのだろうか。
薄情だと怒るか、何故だと嘆くか。
どちらにせよ、彼らのことをひどく傷つけ裏切ることになることには間違いない。
けれど説明なんて出来るはずがない。
卒業したらアイドルに戻るから、もう会えない。
そんなことが云えるはずがないのだ。
だから何も云わずに消えるしかない。
それがたとえ、自分にすら深い傷を負わせることになろうとも。
云えるはずが、ないのだから。
泣きたいと思う。
しかし泣くわけにはいかない。
哀しいなんて思ったら、それこそ自分の存在意義を否定することになる。
決めたのは自分だ。
後悔するなんてしてはいけない。
早乙女まどかにはファンがいて、冴は彼らに応える義務がる。
そしてそれは冴の求めるものに不可欠なものだと、わかっているから。
寂しいも悲しいもつらいも、どうしようもないほどの罪悪感も。
すべて自分の責任だ。
我儘を受け入れてくれた早乙女、何もかも承知で黙って支えてくれている龍也や林檎。
彼らに恩を返すためにも、それらすべては自分の中で消化しなければならない。
卒業まではまだ半年以上もある。
それまでに、少しずつでも消えてくれればいいと思う。
笑ってしまうほど他人任せな願いだった。
20120716
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