Dear My Star
幸せになろう。 僕らが出逢ったのは、きっとそのためだから。
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ほのぼのすればいいじゃない!
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どうやら居眠りをしていたらしい。
ふと気付くと教室には誰もいなくなっていて、自分の席の横の窓だけが開いてカーテンがはためいていた。
週番は他の窓は鍵までしっかり閉めたのに、ここだけは閉めずに帰ったようだ。
気を遣って起こさないでいてくれたのかもしれないが、ここは起こしてくれと理不尽に思う。学校でこんな居眠りをしていたなんて、女の子になんと噂されるかわからないではないか。
ホームルームの途中から意識が曖昧ということはそんなに長い間眠っていたわけではないとは思うが今日は特に予定も入っていなくてよかった、と思った。
というか実は最近は前ほど予定も入っていないのだけれど。
少し前までは、女の子に誘われればどんなに忙しくても合間を縫って会っていた。
しかし今は、なるべく学校に残って暇な時間を作るようにしている。
云ってしまえば、あまり興味がなくなったのだ。
どんなに寂しい、会いたいと云われても、肝心の人物からの言葉でなければ何とも思えなくなってしまった。
我ながら勝手だとは思うが、勝手なのは女の子たちも同じことだからおあいこだと思っている。確かに、多少の罪悪感は否定しないけれど。
それでも。
彼女に会える可能性があるなら、学校にいたいと思う。
女々しいと云われても仕方がないと思うが、また前のように女の子との予定を入れる気にはなれなかった。
とはいえ今日は居眠りで時間を潰してしまった。
失敗したなぁと思いつつ、机で寝たために変な姿勢で固まってしまった身体をほぐそうとうんと伸びをして、肩から何かが落ちたことに気付いた。
振り向いて何かを見ると、それはブランケットだった。
これには覚えがる。
―――彼女が使っているものだ。
桃色チェックの可愛らしいそのブランケットは、翔っぽくて可愛いでしょうと自慢されたことを覚えている。そのあと翔が全否定していたことまで覚えている。
拾い上げてやや呆然としていると、机の上にペットボトルとメモが一枚置かれていた。
『風邪なんて引かないように。あと、水分もよかったらあげる。ブランケットはたたんで私の席に置いておいてね。最後の戸締りはよろしく』
名前は書いていなかったが、これは冴の字だ。
そういえば今週は冴が週番だったことも思い出した。
ブランケットと、メモと、ペットボトルのミネラルウォーター。
きっと彼女は居眠りしている自分を見つけて、呆れたように腰に手を当ててため息をついただろう。
それから起こすかどうか考えて、結局ブランケットを持ち出して。
寝起きには喉が渇くものだからと、ミネラルウォーターまで用意してくれた。
なんでこんなこと、とぼやきながらもちゃんと面倒をみてくれる冴の姿が思い浮かんで、自然と口元が緩んだ。
彼女はそういう人だ。
面倒事は嫌だと云いながら、結局は何でも引き受けてしまう。
放っておけばいいのに、風邪をひくかもしれないと思うと世話を焼いてしまう。
そんな優しい彼女なのだ。
立ち上がり、綺麗にたたんだブランケットを冴の机に置いた。
それからミネラルウォーターを手に取り、少し迷ってから口をつける。レモン入りのミネラルウォーターは、なんだか今まで飲んだことのあるどの水よりも優しい味がした。
明日彼女を見かけたら、まずお礼を云おう。
彼女は澄ました顔で気にしないでと云うだろうけれど、それでもめげずに。
―――なんだ、居眠りするのも悪くないな。
そんことを思いながら、緩んだ頬を引き締めることも出来なかった。
おとめん
20120711
ふと気付くと教室には誰もいなくなっていて、自分の席の横の窓だけが開いてカーテンがはためいていた。
週番は他の窓は鍵までしっかり閉めたのに、ここだけは閉めずに帰ったようだ。
気を遣って起こさないでいてくれたのかもしれないが、ここは起こしてくれと理不尽に思う。学校でこんな居眠りをしていたなんて、女の子になんと噂されるかわからないではないか。
ホームルームの途中から意識が曖昧ということはそんなに長い間眠っていたわけではないとは思うが今日は特に予定も入っていなくてよかった、と思った。
というか実は最近は前ほど予定も入っていないのだけれど。
少し前までは、女の子に誘われればどんなに忙しくても合間を縫って会っていた。
しかし今は、なるべく学校に残って暇な時間を作るようにしている。
云ってしまえば、あまり興味がなくなったのだ。
どんなに寂しい、会いたいと云われても、肝心の人物からの言葉でなければ何とも思えなくなってしまった。
我ながら勝手だとは思うが、勝手なのは女の子たちも同じことだからおあいこだと思っている。確かに、多少の罪悪感は否定しないけれど。
それでも。
彼女に会える可能性があるなら、学校にいたいと思う。
女々しいと云われても仕方がないと思うが、また前のように女の子との予定を入れる気にはなれなかった。
とはいえ今日は居眠りで時間を潰してしまった。
失敗したなぁと思いつつ、机で寝たために変な姿勢で固まってしまった身体をほぐそうとうんと伸びをして、肩から何かが落ちたことに気付いた。
振り向いて何かを見ると、それはブランケットだった。
これには覚えがる。
―――彼女が使っているものだ。
桃色チェックの可愛らしいそのブランケットは、翔っぽくて可愛いでしょうと自慢されたことを覚えている。そのあと翔が全否定していたことまで覚えている。
拾い上げてやや呆然としていると、机の上にペットボトルとメモが一枚置かれていた。
『風邪なんて引かないように。あと、水分もよかったらあげる。ブランケットはたたんで私の席に置いておいてね。最後の戸締りはよろしく』
名前は書いていなかったが、これは冴の字だ。
そういえば今週は冴が週番だったことも思い出した。
ブランケットと、メモと、ペットボトルのミネラルウォーター。
きっと彼女は居眠りしている自分を見つけて、呆れたように腰に手を当ててため息をついただろう。
それから起こすかどうか考えて、結局ブランケットを持ち出して。
寝起きには喉が渇くものだからと、ミネラルウォーターまで用意してくれた。
なんでこんなこと、とぼやきながらもちゃんと面倒をみてくれる冴の姿が思い浮かんで、自然と口元が緩んだ。
彼女はそういう人だ。
面倒事は嫌だと云いながら、結局は何でも引き受けてしまう。
放っておけばいいのに、風邪をひくかもしれないと思うと世話を焼いてしまう。
そんな優しい彼女なのだ。
立ち上がり、綺麗にたたんだブランケットを冴の机に置いた。
それからミネラルウォーターを手に取り、少し迷ってから口をつける。レモン入りのミネラルウォーターは、なんだか今まで飲んだことのあるどの水よりも優しい味がした。
明日彼女を見かけたら、まずお礼を云おう。
彼女は澄ました顔で気にしないでと云うだろうけれど、それでもめげずに。
―――なんだ、居眠りするのも悪くないな。
そんことを思いながら、緩んだ頬を引き締めることも出来なかった。
おとめん
20120711
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