Dear My Star
幸せになろう。 僕らが出逢ったのは、きっとそのためだから。
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私も割とこのタイプです
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「ケータイ不携帯なのだーれだ」
明らかに不機嫌な顔で腰に手を当てている翔を見、ちらりとレンと顔を見合わせた。レンは肩を竦めている。
ということは、自分。
確か昨日から鞄に入れたまま出していないはずの携帯電話を探す。まぁ昨日と云わず一昨日も一昨昨日も入れっぱなしだったのだけれど。
「あ、あった」
と思ったがボタンを押しても画面は真っ暗なままだった。
そういえば3日前に鞄に入れてから一度も出していないということは、充電すらしていない。使わなくても電池は消費されるから、いつの間にか切れていたのだろう。
なーるほど。
ひとりで勝手に納得していると、翔が更に目を吊り上げた。
「お前なぁ、なんのためのケータイなんだよ?」
「電話するための・・・」
「俺電話もしたけど」
「直接話した方がはやいじゃん」
「ケータイの存在意義を否定すんな」
まぁごもっともで。
とは云っても正直冴は携帯電話が苦手だった。使えることには使えるが、メールもほとんどしない。仕事の関係でやむなく持っているが、市内のマンションに住んでいた時は固定電話の方ばかりを使っていた。
今ではほとんど学校と寮の往復だし、翔たちとは学校に来ればすぐに会えるという安心感からか、一応持ってはいるが携帯電話としての機能はほとんど使っていないというのが現状だった。
この様子では昨日何度も連絡をくれたらしい。結果としては無視したことになってしまい、些か居心地が悪かった。
「えーと、何か用だった?」
「暇だったら遊び行こうぜって思ったんだけど、結局部屋でごろごろしてた」
「ご、ごめん」
別にーっとそっぽを向いてしまった翔は完全に拗ねてしまっている。
助けを求めてレンを見ても、面白そうに笑っているだけだった。他人事だと思って。
レンに恨みを込めた視線を投げながら、なんとか翔のご機嫌を取ろうと冴は必死に頭を回転させた。
「あ、んじゃあ、次の休みは絶対翔に付き合うから!」
「・・・云ったな?」
「うん、嘘つかない」
「じゃ、許す」
途端にパッと笑顔になった翔を可愛いと思わない女子がいるだろうか。これは母性をくすぐられるという言葉がぴったりだった。
思わず抱き締めてしまいたくなるが、そうはさせてくれないのがわかっているので代わりに隣にいたレンの肩をバシバシと叩いた。さっきの仕返しではない。断じて。
「じゃ、今度の日曜な!」
「おっけ。暇ならレンも来る?」
という冴の言葉にレンは思わず噴き出した。
男女がふたりで出かけるのは、俗にデートと呼ばれるものだ。冴と翔という組み合わせでデートも何もないとは思うが、そこに別な男を――いくら欠片も意識していないとはいえ――誘うのは冴らしい、と思った。
「遠慮しておくよ。おチビちゃんが拗ねたら困るしね?」
「あほか」
「しっ! ほんとのこと云うなんてレンが傷付くでしょ?」
「お前の方がよっぽどだよ」
ひどい云われようだが、レンは広い心で受け流した。自覚があるのかないのかわざとなのかはわからないが、このふたりが一緒にいると割と心が鍛えられることばかりを云われる。最近では受け流すというスキルを身に付けたので、なんだか人間として成長出来た気がしていた。少しばかり切ないが。
ともあれ次の予定を取り付けた翔はすっかりご機嫌になっていたし、冴も翔の機嫌が直ってホッとしている。
前々から云えずにいたことが、今なら云える。
レンはタイミングは逃さないタイプの人間だった。
「そういえば俺、レディの連絡先知らないなぁ」
「え、いるの?」
いっぱい女の子のアドレス知ってるからいらないでしょ。
タイミングは逃がさなくともチャンスを掴めるかと云うのはまた別な話であった。
あっさりと云われた言葉に、さすがのレンも傷付いた。翔が気の毒そうな顔で肩を叩いてきたが、振り払いたくなるほど腹立たしい。
いつの間にかアドレスをゲットしている勝ち組は黙ってろ。
このあとちゃんとレン様にも教えてあげます。
冴ちゃんはパソコンとか音楽機材とか以外の機械には弱いというどうでもいい設定。
20120711
明らかに不機嫌な顔で腰に手を当てている翔を見、ちらりとレンと顔を見合わせた。レンは肩を竦めている。
ということは、自分。
確か昨日から鞄に入れたまま出していないはずの携帯電話を探す。まぁ昨日と云わず一昨日も一昨昨日も入れっぱなしだったのだけれど。
「あ、あった」
と思ったがボタンを押しても画面は真っ暗なままだった。
そういえば3日前に鞄に入れてから一度も出していないということは、充電すらしていない。使わなくても電池は消費されるから、いつの間にか切れていたのだろう。
なーるほど。
ひとりで勝手に納得していると、翔が更に目を吊り上げた。
「お前なぁ、なんのためのケータイなんだよ?」
「電話するための・・・」
「俺電話もしたけど」
「直接話した方がはやいじゃん」
「ケータイの存在意義を否定すんな」
まぁごもっともで。
とは云っても正直冴は携帯電話が苦手だった。使えることには使えるが、メールもほとんどしない。仕事の関係でやむなく持っているが、市内のマンションに住んでいた時は固定電話の方ばかりを使っていた。
今ではほとんど学校と寮の往復だし、翔たちとは学校に来ればすぐに会えるという安心感からか、一応持ってはいるが携帯電話としての機能はほとんど使っていないというのが現状だった。
この様子では昨日何度も連絡をくれたらしい。結果としては無視したことになってしまい、些か居心地が悪かった。
「えーと、何か用だった?」
「暇だったら遊び行こうぜって思ったんだけど、結局部屋でごろごろしてた」
「ご、ごめん」
別にーっとそっぽを向いてしまった翔は完全に拗ねてしまっている。
助けを求めてレンを見ても、面白そうに笑っているだけだった。他人事だと思って。
レンに恨みを込めた視線を投げながら、なんとか翔のご機嫌を取ろうと冴は必死に頭を回転させた。
「あ、んじゃあ、次の休みは絶対翔に付き合うから!」
「・・・云ったな?」
「うん、嘘つかない」
「じゃ、許す」
途端にパッと笑顔になった翔を可愛いと思わない女子がいるだろうか。これは母性をくすぐられるという言葉がぴったりだった。
思わず抱き締めてしまいたくなるが、そうはさせてくれないのがわかっているので代わりに隣にいたレンの肩をバシバシと叩いた。さっきの仕返しではない。断じて。
「じゃ、今度の日曜な!」
「おっけ。暇ならレンも来る?」
という冴の言葉にレンは思わず噴き出した。
男女がふたりで出かけるのは、俗にデートと呼ばれるものだ。冴と翔という組み合わせでデートも何もないとは思うが、そこに別な男を――いくら欠片も意識していないとはいえ――誘うのは冴らしい、と思った。
「遠慮しておくよ。おチビちゃんが拗ねたら困るしね?」
「あほか」
「しっ! ほんとのこと云うなんてレンが傷付くでしょ?」
「お前の方がよっぽどだよ」
ひどい云われようだが、レンは広い心で受け流した。自覚があるのかないのかわざとなのかはわからないが、このふたりが一緒にいると割と心が鍛えられることばかりを云われる。最近では受け流すというスキルを身に付けたので、なんだか人間として成長出来た気がしていた。少しばかり切ないが。
ともあれ次の予定を取り付けた翔はすっかりご機嫌になっていたし、冴も翔の機嫌が直ってホッとしている。
前々から云えずにいたことが、今なら云える。
レンはタイミングは逃さないタイプの人間だった。
「そういえば俺、レディの連絡先知らないなぁ」
「え、いるの?」
いっぱい女の子のアドレス知ってるからいらないでしょ。
タイミングは逃がさなくともチャンスを掴めるかと云うのはまた別な話であった。
あっさりと云われた言葉に、さすがのレンも傷付いた。翔が気の毒そうな顔で肩を叩いてきたが、振り払いたくなるほど腹立たしい。
いつの間にかアドレスをゲットしている勝ち組は黙ってろ。
このあとちゃんとレン様にも教えてあげます。
冴ちゃんはパソコンとか音楽機材とか以外の機械には弱いというどうでもいい設定。
20120711
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